水星の魔女 元ネタ・モデル考察

ユーシュラー・ミルザハニの元ネタ・モデルを考察

この記事では、小説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のオリジナル・エピソードに登場する「ユーシュラ―・ミルザハニ」というキャラクターの元ネタ・モデル・名前の由来について考察しています。

ユーシュラー・ミルザハニというキャラクターについて

ユーシュラーの初出は小説版オリジナルエピソード#1「ユーシュラーの遊園地」
今のところ水星の魔女アニメ本編(第1シーズン)には登場していません。

ユーシュラー・ミルザハニのプロフィール

  • 女性、年齢不詳。
  • ミオリネの幼なじみ旧花婿を自称。
  • 学生ではなく、ラングランズ社のCTO(最高技術責任者)。
  • 身体が弱く、重力環境ではハロ搭載の移動支援ステッキを使用。
  • フロント「石の庭(ラピス・ガーデン)」を曾祖母から相続。
  • ヤヤ・フルーネフェルトという執事を連れている。

「ユーシュラーの遊園地」のあらすじ

ミオリネとスレッタはアスティカシア高等専門学園の実習にバディを組んで参加しますが、コミュニケーションの項目で低い評価をつけられてしまいます。

ふたりは気まずい雰囲気で別れ、その後ひとり淋しくカフェテリアを訪れたスレッタはミオリネそっくりに変装した少女、ユーシュラ―に出会います。

詳しくは、小説版オリジナル・エピソードをどうぞ。

「ユーシュラー」の公式の英語表記は?

「ユーシュラー」の英語のスペルがわからず、だいぶ苦労しました。

『小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女』英語版がKindleなどで入手できるかと思って探したんですが、見つけられず・・・

tumblrを検索してみると、「Yushura」という表記が複数ありましたが、公式の表記なのかまだ不明です

ただ名字のミルザハニは「Mirzakhani」のスペルであることがほぼ確定したので、こちらの由来から解説していきますね。

ミルザハニという姓

主に英語圏の名前の起源をまとめたデータベース「Behind the name」を参考にしました。

 

こちらのデータによれば、ミルザハニ(Mirzakhani)は、ペルシア語の「王子」を意味する敬称 「Mirza」 に、モンゴル-トルコ系の「支配者、主権者」を意味する 「khagan」 の短縮形「Khan」という皇帝の称号を組み合わせたものに由来。

この「Khan」は、モンゴル帝国の初代皇帝、チンギス・カーン(ハーン)の「カーン」ですね。

ミルザハニという名前はもともとは First name(名前)として使われていたのですが、1919年以降、イラン政府は国民に名字の使用を求め始め、現在はミルザハニは一般に名字として用いられている、とのこと。

ミルザハニ姓の著名人としては、数学者の「マリアム・ミルザハニ(Maryam Mirzakhani)」がいます。この人物については後述します。

ユーシュラーはイスラム聖典由来の名前?

名字のミルザハニが中東系なので、「ユーシュラー」もその近辺の名前であると推測しました。

最初は、「Eushula」「Eushalia」というスペルかと思ったのですが・・・

その後、再度リサーチしてみると、「ヴィンセント・イン・ブリクストン」というミュージカルに「ユーシュラ」という登場人物がいるのを発見。
こちらは「Ursula」というスペル。

しかし「Ursula」は、「ユーシュラー」というよりも、「ウルスラ」のように思えました。

さらに、英語の水星の魔女関連のサイトで、「Yushura」「Yushurah」という表記を見付けました。ただ、これらの名前について調べても、語源がわからない。というか、そもそもこの表記、どれだけ信ぴょう性があるものなのか?

そもそも名字がイランで用いられているのであれば、ローマ字表記にも表記揺れがあるだろう、と考え、似たような名前で検索していたところ、見つけたのがこちら。

「Youssra」、あるいは「Yusra」

前出のデータベース「Behind the name」で調べると、どちらもアラビア系の女性の名前で、「Youssra」は「Yusra」から来ていることがわかりました。

意味は「富」「安心」。

別のサイトも当たってみました。
こちらはイスラム系の子どもの名前のデータベース「QuranicNames」です。

Yusraの意味

Yusra は、イスラムの聖典から取られた女の子の名前。「容易」(困難の逆)、「快適」、「幸運」を意味する。 聖典では、87:8 節と 92:7 節で 2 回使用されている。

まとめ

ユーシュラー・ミルザハニは名前・名字ともにアラブ系。
ミルザハニは「支配者」の意。
ユーシュラーは「容易」「快適」の意。

ユーシュラ―のモデル?イランの天才女性数学者

先ほど数学者の「マリアム・ミルザハニ(Maryam Mirzakhani)」という名前を挙げました。
私はこの人がユーシュラーのモデルというか、オマージュではないかと考えています。

マリアム・ミルザハニという人物

マリアム・ミルザハニは、イラン生まれの女性数学者。
「数学界のノーベル賞」と呼ばれる「フィールズ賞」を女性として初めて授賞した方。

1994年と95年、高校生時代に「国際数学オリンピック」で2年連続で金メダルを獲得した天才少女でした。

2008年からスタンフォード大学教授を務め、専門は幾何学。
研究テーマは、タイヒミュラー理論、双曲幾何学、エルゴード理論、シンプレクティック幾何学など。残念ながら理数系に弱い私には全く理解の及ばない世界です・・・

ちなみに、彼女は惜しくも2017年に40歳で病気で亡くなっています。

未視聴ですが、「曲面の秘密ーマリアムの魔法の杖」という彼女の人生と数学を追ったドキュメンタリー映画が作製されています。

>>>日本語字幕付きで視聴可能(有料)です。

このタイトルを見て、外伝を読まれた方ならピンときませんか?

ユーシュラーのかたわらでは、ずっと機械式のステッキが自立していた。その上端にはハロがのっていて、まるで魔法使いの杖みたいだ。

ー小説版オリジナルエピソード#1「ユーシュラーの遊園地」より

若くして数学の技術を操る天才肌の少女。

単なる妄想ですが、ユーシュラー・ミルザハニが、マリアムの子孫だったら素敵だなと思っています。